世界経営者会議・特別ワークショップ 実施レポート 「リーダーとしての私」を見つめ、変化を起こす4日間

「日経フォーラム 世界経営者会議」の第20回を記念する特別ワークショップが無事、終了いたしました。ワークショップは2日間の本会議への参加に加え、事前のプレセッションと本会議終了後に開くアフターセッションの計4日間を通じ、リーダーとして成長を目指す新しいプログラムです。

 

11月2日に開催されたプレセッションは、本会議を聴講する前に自分自身の課題や問題意識をより明確にするためのグループワークが中心。世界の一流経営者の生の声が聞ける本会議からより深く学び、聴講者自身が変化するきっかけを作ることが狙いです。

 

冒頭には初対面の参加者同士の緊張をほぐすため、名刺に書いてある情報を一切使わずに10分間で全員と話す時間(アイスブレイク)を設けました。勤務先のブランドや肩書き、地位などに頼らず、個人的な経験やエピソードを駆使して会話する制約に戸惑いながらも、次第に自然な交流が生まれていきました。

 

このアイスブレイクには別の狙いもありました。指南役としてファシリテーターを務めたスイスのビジネススクール、IMDの高津尚志北東アジア代表は「リーダーは不特定多数の人と交流する機会が多い。短い時間で印象づけ、相手に顔を覚えてもらうスキルは欠かせない」と説明しました。

 

 

時代とともに変化し続ける俊敏(アジャイル)なリーダー像

次のグループワークでは、リーダーとしての自分の課題を見つけることに取り組みました。はじめの10分間で「リーダーとしての私」を見つめ直すワークシートを記入。リーダーとしての自分に満足していること、不満な点、今後はどうありたいかなどをまとめ、参加者同士で共有しました。

 


摩擦を恐れない言動や、縦割りを乗り越えて仕事を進めること、新しい環境において足りないスキルや経験をどう補い、答えがないことをどうやって進めるか、経営幹部とのコミュニケーション不足など様々な課題が挙げられました。

 

数多い課題の中でも「答えがない」状況はリーダーの多くが直面するものだと高津氏は指摘します。「デジタル化だけでなくあらゆる分野で変化が起きるなか、組織やリーダーには俊敏さ(アジリティ)が求められる。従来のリーダーはぶれないことがよしとされてきたが、今は柔軟であることも強み」。IMDの研究では、謙虚さ、適応力、ビジョン、エンゲージメントをアジャイルなリーダーの4つの特性としています。

 

 

リーダーシップは生まれながらのものではない

世界経営者会議の見どころのひとつは、一流のリーダーのコミュニケーション方法を間近に見られることです。「世界のすぐれたビジネスリーダーたちも、必ずしも共感力に秀でていたり、生まれながらに外向的だったりするわけではありません。その一方で、ありのままに行動・発言しているだけでもない。職業上求められる人物像と本来の自分の間にギャップがある場合、自分の行動を意識的にコントロールする能力が求められます。そのうえで本来の自分に戻る時間も必要です」と高津氏。

 

1日目の最後は本会議の登壇者に聞いてみたい質問を書き出しました。質問の一部は会場で実際に登壇者に投げかけられました。

 

 

「なりたいリーダー」への行動計画
それぞれの問題意識を明確にしたうえで参加者は2日間の本会議に出席。その後、最終日である4日目のアフターセッションに臨みました。同セッションの目的はリーダーとして自らの行動を今後どう改善していくかの、具体的な計画に落とし込むことです。

 

まず2日間の本会議を振り返り、どの登壇者のどんなところに共感したのかを受講者が共有し合いました。登壇した経営者たちを見て感じた理想のリーダー像についても意見が交わされました。エアアジア・グループのフェルナンデスCEOや星野リゾートの星野代表などが見せた、柔和さと人を楽しませるユーモア、すべてを分かりやすい言葉で表現し、相手に確実に伝えるスキルの高さ。ABBのボーザー会長が語った「リーダーの役割はガードレールのように広い視野から組織の環境を整え、成功に導くこと」という話が印象に残ったといった意見が出ました。

 

グループワークでは、よりよいリーダーになるための具体的な行動について話し合いました。高津氏が用いたのはIMDが実際にコースで使っている行動変容を起こすためのフレームワーク「Changing Employee Behavior」。同フレームワークは行動の変化につながる要素をMotivation(動機)、Ability(能力)、Psychological Capital (心理的資本)、Supporting Environment (支援環境)の4つに分け、それぞれを検証することで、変化を確実に起こすための具体的な計画を立てられるのが特長です。

 

最終日は周囲の巻き込み方、部下がどうしたら力を発揮できるかといった課題を解決する方法を発表し合い、締めくくられました。ファシリテーターの高津氏も自らの体験を交え、「口癖をやめる、身につけるものを変える、話し方の幅を思い切って広げるなど、ごく小さな行いからも周囲とのコミュニケーションを変えられる」と助言。また、リーダーの語彙力の重要性について意見を交わすなかで「ビジョンという言葉は憧憬とも訳される。よいリーダーシップは憧れの心象風景を人々に示し、共有することでもある」と話しました。

 

 

 

 

 

初の取り組みとなった今回の特別ワークショップ。ビジネスの現場を率いるリーダーたちが課題と向き合い、目標となるリーダー像を見つけ、変化の一歩を踏み出すためのプログラムとしてIMDの協力のもと企画しました。日本経済新聞社は今後も世界中からトップクラスの経営者たちが集まる世界経営者会議の強みを最大限生かし、次代を担うビジネスパーソンの活躍を支援するコンテンツを提供していきます。

(2018年12月)

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