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NIKKEI脱炭素プロジェクト* からの宣言

 

サステナブルな脱炭素社会の実現にむけて私たちは変わります。みなさまとともに。

 

 

 

 日本でも世界でも気象災害が甚大な被害をもたらしています。気候変動は、遠い将来の問題ではなく、今日明日の私たちのいのちと生活を脅かしている問題です。最新の科学は、人間活動が温暖化を引き起こしていることに疑いはないこと、気温の上昇とともに気候の変化はさらに大きくなること、そして、世界の温室効果ガスの排出が早期に減少に転じなければ、遅くとも2040年頃までには工業化前と比べて気温上昇が1.5℃を超える可能性が高いとの予測を示しています。将来にわたり安心で安全な持続可能な社会を構築するためには、気温上昇を可能な限り抑えるよう今からできる限り排出を削減しなければなりません。

 気候変動対策は、将来の気候変動のリスクを低減するだけでなく、私たちの生活を豊かにし、地域の課題の解決につなげる可能性を持っています。カーボンニュートラルに向けた社会と市場の大きな変化は、企業にとっては、市場再編の可能性もはらむ大きな転換と競争の時代であるとともに、新たなビジネスの機会をもたらす契機でもあります。

 英国・グラスゴーで開催されたCOP26では、工業化前と比べて気温上昇を1.5℃までに抑えるという1.5℃目標の実現を決意をもって追求することが合意されました。そして、そのために、これからの10年、2030年頃までの排出削減が決定的に重要であることも確認されました。

 脱炭素社会に向かう社会の変革は決して容易な道のりではありません。NIKKEI脱炭素プロジェクトに参加する企業と専門家は、強い決意と覚悟をもって、自然と調和した持続可能な地球を次の世代に引き継ぐこと、そして、人権が尊重され、一人ひとりが幸せを実感できる公平、公正で、サステナブルな脱炭素社会を実現することをめざします。そのために、工業化前と比べて気温上昇を1.5℃までに抑えるというパリ協定の長期目標をめざして、まさに今から2030年に向けて、気候変動対策をさらに強化・加速します。脱炭素社会の実現をめざす気候変動への対応が、生物多様性や森林の破壊、人権侵害などにより、社会のサステナビリティを毀損することがないよう、また、産業や社会の転換の中で取り残される人や地域が生まれないよう、公正な移行をめざします。

 脱炭素社会の構築は私たちだけで実現できるものではありません。社会のあらゆる主体が連携して取り組むことが必要です。私たちは、国内外の多くのみなさんにこの取り組みに加わっていただくことを呼びかけます。国や自治体に対して、一人ひとりが幸せを実感できる公平、公正で、サステナブルな脱炭素社会を実現するための制度やルールを早急に構築・整備することを求めます。

 

 

2050年カーボンニュートラルの実現をめざして、まさに今から2030年に向けて私たちがともに取り組むこと

 

◆脱炭素社会のビジョンを描き、そこに向かう総合戦略をつくります

脱炭素社会の実現には、エネルギー、建築物、交通などのインフラや産業を含む社会経済の脱炭素化とそのための社会経済の変革・移行が必要です。人口減少、高齢化、気象災害への対応、自然共生などを考慮しつつ、自然が身近で、生活の質を向上させることができる地域が連結・連携する分散型のネットワーク社会へと国土のあり方を構造的に転換していくことも必要です。そのために、次のことに取り組みます。

 

  • 社会経済全体を脱炭素型に変えていくため、脱炭素社会のビジョンを描き、そこに向かう総合戦略をつくります。国と地域に対して、若い世代を含む国民・住民とともに脱炭素社会のビジョンと総合戦略をつくることを求めます。
  • 地域の多様性をふまえて脱炭素を実現する多様なモデル地区をつくることに地域とともに取り組みます。

 

◆1.5℃目標をめざし、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、強い決意と覚悟をもって、地域にある再生可能エネルギーを最大限活用し、需要側の分散型エネルギーリソースも統合・活用した効率的で脱炭素なエネルギーシステムへと根本的に転換をはかります。

脱炭素社会の実現には、特にエネルギーシステムの根本的転換、脱炭素化が必須です。エネルギーの脱炭素化には、供給側だけでなく、需要側のリソースの活用や取り組みも重要です。地産地消とともに、再生可能エネルギーのポテンシャルを日本全体で最大限活用するという視点も重要です。それにより、大都市や工業地帯も再生可能エネルギーを最大限利用でき、再生可能エネルギーの豊富な地域もそのメリットを受けることができます。再生可能エネルギー中心のエネルギーシステムを実現するには、電力の安定供給を維持するシステム(システムサービス)の脱炭素化が大きな課題です。また、電力の脱炭素化の加速とともに電化を進める一方、電力で代替できない用途のエネルギーの脱炭素化も課題です。脱炭素なエネルギーシステムへの転換と移行に伴うこうした課題について、社会全体で広く議論し、課題解決に向けて取り組むことが必要です。

そのために、次のことに取り組みます。

  • 都市も含め、地域にある再生可能エネルギー資源を最大限活用し、再生可能エネルギーの地産地消を促進します。
  • エネルギーの需要家が、みずから再生可能エネルギーを所有し、使用するプロシューマー化を促進すること、eモビリティを含め蓄電池や住宅・建築物といった需要家が保有する分散型エネルギーリソースを活用することで、地域全体で効率的にエネルギーを使い、脱炭素化が促進するよう取り組みます。

 

地産地消とともに、再生可能エネルギーのポテンシャルを日本全体で最大限活用するために、国に対して、送電網の広域運用や整備拡充など、そのための対策を加速することを求めます。

  • 再生可能エネルギー電気の供給だけではまかなうことが難しい産業用熱需要等のエネルギー需要への対応や再生可能エネルギーの自然変動に対応し需給を調整する調整力の脱炭素化も課題です。水素、アンモニア、蓄電池などエネルギー貯蔵技術、デマンド・レスポンス(DR)など需要側のリソースも含む新たなエネルギーリソースの開発や活用にも取り組みます。国に対して、これらのエネルギーリソースの開発・活用が促進されるよう、インフラの整備や市場や制度の構築を求めます。また、これらの課題について、エネルギーの脱炭素化の実現に向けて真正面から検討すべき課題として、引き続き検討するとともに、広く社会に提起していきます。

 

◆2050年カーボンニュートラルの実現にむけて、2030年に向けてまさに今から、新築の住宅・建築物、そして既存の住宅・建築物の脱炭素化を強力に進めます。

 

建築物、住宅はその寿命が長いことから、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという長期目標と整合するよう、次のことに取り組みます

  • すべての新築の住宅・建築物をZEB(ネットゼロエネルギービルディング)・ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)にすることをめざします。
  • 個人、中小企業の所有が大要を占める既存の住宅・建築物の脱炭素化が大きな課題であることを認識し、国と自治体に対して、そのための対策を早急に具体化し、実施することを求めます。

 

◆インフラや設備の導入・更新にあたっては、その寿命を考慮して2050年カーボンニュートラル目標と整合的な脱炭素のインフラ・設備を選択します(「設備投資の際には必ず脱炭素!」)

 

◆森林の保護と持続可能な林業の拡大・促進により、炭素の排出を抑制・吸収を促進し、森林資源を活用した脱炭素の地域づくりをすすめます。

 

日本は、国土の3分の2が森林であり、森林によるCO2吸収は脱炭素社会の構築に大きく貢献します。森林を保護するとともに、持続可能な林業を拡大、促進することにより、森林の生態系・生物多様性を保全し、水源の涵養や地域の防災にも貢献します。住宅・建築物、製品などに炭素を固定した木材を活用することで大気中へのCO2排出を遅らせ、熱エネルギーとして利用することで化石燃料を代替して、排出削減に大きな役割を果たします。

  • そのために、国と自治体が、炭素固定の価値の見える化、持続可能な森林経営のため施策の実施、製材や紙製品など木材製品の炭素固定の価値が経済的に評価される仕組みづくりを行うことを求めます。

 

◆生態系・生物多様性を保全し、自然と共生する脱炭素社会の実現をめざして、自然がもたらす恩恵と自然への負荷を可視化し、気候変動対応とともに企業経営に組み込んでいきます。

 

◆2050年までに投融資ポートフォリオ全体のネットゼロの実現をめざします。

金融・投資業に携わる企業として、現在ストックとして保有する投融資ポートフォリオの炭素負荷を2050年までにネットゼロにすることをめざします。そのために次のことに取り組みます。

  • あらゆる産業が移行リスクを乗り越えるために、投融資先が必要な設備投資を真剣に考え、脱炭素社会への円滑な移行できるよう、積極的にエンゲージメント(建設的な対話)を行います。
  • 投融資先に対して、脱炭素に必要な支援を行います。

 

 

◆脱炭素化の実現のために十分な資金を振り向けます。

金融・投資業に携わる企業として、経済・社会の脱炭素化を実現するために投資が必要な分野に対して、十分な資金を提供します。2030年目標(2013年度比46%以上の削減)を実現するためには、ZEB、ZEH、再生可能エネルギーの導入拡大など、今利用できる技術の大規模かつ急速な導入が必要です。また、2050年までのカーボンニュートラルを睨んで新たな技術の開発をはじめ、より長期的な視野に立って脱炭素社会への移行(トランジション)を支える資金が必要です。即効性があって今すぐ行うべきことと、より長期的な視点から脱炭素社会への移行を支える資金の両面で、次のように取り組みます。

  • 約1900兆円の個人金融資産を含む3000兆円の日本の金融資産を動員できるような魅力的な金融商品や仕組みづくりに取り組み、新たなグリーンの資金の流れを生み出します。そのような金融商品を支えるグリーン税制優遇措置など政策枠組みの強化を求めます。
  • 次世代技術の開発を支えるための資金など、民間にとって相対的に大きなリスクを伴うものについて、国や自治体に対して、リスクの分担やハイリスク部分を公的に保証する仕組み作りなどを求めます。

 

◆私たちは、脱炭素に貢献する商品・サービスを開発し、社会に提供していくことで、脱炭素社会の実現に向けてその事業で役割を果たすとともに、その商品・サービスを通じて、脱炭素社会に相応しい消費や生活への転換を促します。消費者が商品・サービスを利用すればするほど、排出が抑制され、自然が豊かになるような商品・サービスの開発にチャレンジしていきます。その際、炭素負荷の低いものには高い付加価値があるという点も重要な基準として、炭素負荷の評価を適正に行います。また、調達のトレーサビリティの確保やサプライチェーン、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出をはじめとする環境負荷の低減に取り組みます。そのために、サプライチェーンのパートナーとの協働と支援を進めます。

 

◆こうした取り組みが社会全体で進むために、炭素削減の価値=炭素排出の費用が広く社会で可視化され、適正に評価され、公正に負担・分担されるよう、カーボンプライシングなどの仕組みづくりを国に対して求めます。

 

◆私たちは、カーボンニュートラルに向けて確固として対策を進めていくことをここに表明し、その決意と取り組みを国際社会に広く発信していきます。

 

 

 

[*] NIKKEI脱炭素プロジェクトは、2021年4月にスタートし、企業と9人の専門家が参加し、議論を行い、様々な取り組みを共同して行っています。若い世代の3つの団体とも意見交換をしています。

 


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